
「発達障害があると事務職は難しい」という声を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
確かに、事務職にはマルチタスクや正確性、対人コミュニケーションなど、発達障害の方が苦手とする要素が含まれることがあります。しかし、事務職にもさまざまな種類があり、特性に合った業務を選べば、むしろ強みを活かして活躍できるケースも多いのです。
この記事では、ADHD・ASDそれぞれの特性と事務職の相性を整理し、自分に合った事務系職種を見つけるための具体的な方法をお伝えします。
「事務職」と一口に言っても、業務内容は大きく異なります。まずは主な事務系職種と、ADHD・ASDそれぞれとの相性を見てみましょう。
職種 | 主な業務内容 | ADHDとの相性 | ASDとの相性 |
|---|---|---|---|
経理・会計 | 仕訳、決算、請求書処理 | やや注意が必要 | 相性が良い |
データ入力 | 数値・文字データの入力 | やや注意が必要 | 相性が良い |
総務 | 備品管理、社内調整、庶務 | 相性が良い | やや注意が必要 |
人事・労務 | 勤怠管理、給与計算、採用 | やや注意が必要 | 場面による |
営業事務 | 受発注管理、見積書作成 | 場面による | 相性が良い |
法務 | 契約書チェック、法令調査 | やや注意が必要 | 相性が良い |
IT事務・ヘルプデスク | システム管理、問い合わせ対応 | 相性が良い | 場面による |
ポイント: 同じ「事務職」でも、ルーティン中心の業務もあれば、臨機応変な対応が求められる業務もあります。「事務職が向いているか」ではなく、「どの事務職が自分に合うか」で考えることが大切です。
より幅広い職種の選択肢を知りたい方は、発達障害の特性を活かせる職種15選も参考にしてください。
ADHDの方が事務職で苦戦しやすいポイントと、その対策を整理しました。
1. ケアレスミスが多い
数字の転記ミスや入力漏れは、ADHDの方が最も悩むポイントです。
ミスを防ぐ具体的なテクニックは、発達障害のミス防止チェックリストで詳しく紹介しています。
2. 優先順位がつけられない
複数のタスクが同時に来ると、どれから手をつけていいかわからなくなることがあります。
タスク管理の詳しい方法は、ADHDの段取り改善術|先延ばしを防ぎタスクを確実にこなす方法を参考にしてください。
3. 単調な作業に集中できない
データ入力や書類整理など、同じ作業の繰り返しが苦手な方も多いです。
ASDの方は、事務職の「正確性」や「ルーティン」との相性が良い一方で、対人面で苦戦することがあります。
1. 電話対応が苦手
事務職では電話対応を求められることがありますが、ASDの方にとっては大きなストレスになりやすいです。
2. 臨機応変な対応が難しい
想定外の依頼や急な変更に戸惑うことがあります。
3. 暗黙のルールがわからない
「そこまで指示されなくてもわかるでしょ」と思われるような暗黙の期待に気づけないことがあります。
特性に関わらず、事務系の仕事で生産性を上げるためのツールを紹介します。
目的 | おすすめツール | 特性別のメリット |
|---|---|---|
タスク管理 | Todoist、Notion | ADHD: 視覚的にタスクを把握できる |
スケジュール管理 | Googleカレンダー | ADHD: リマインダーで忘れ防止 |
メモ・ノート | OneNote、Notion | ASD: 情報を構造的に整理できる |
コミュニケーション | Slack、Teams | ASD: テキストベースで落ち着いて対応 |
作業自動化 | Excel関数、GAS | 両方: 手作業ミスを減らせる |
ツールの選び方について詳しくは、発達障害者のための仕事効率化ツール活用術を参考にしてください。
事務職といっても、職場によって環境は大きく異なります。面接や職場見学で確認しておきたいポイントを紹介します。
マニュアルが整備されている職場は、発達障害の方にとって働きやすい環境です。逆に、「見て覚えて」「自分で考えて」というスタイルの職場は苦戦しやすいです。
面接で聞いてみるフレーズ例
「入社後の業務はどのように教えていただけますか?マニュアルなどはありますか?」
口頭中心の職場よりも、チャットやメールで指示が来る職場のほうが、正確に情報を受け取れます。
事務職の中でも、電話対応がほとんどない職場もあります。特にASDの方は、事前に確認しておくと安心です。
毎日同じルーティンなのか、日によって業務内容が大きく変わるのか。ASDの方はルーティン中心の職場、ADHDの方は適度に変化がある職場がフィットしやすい傾向があります。
オープンオフィスか、パーティションがあるか、リモートワークの可否など。感覚過敏がある方は特に重要な確認ポイントです。
職場環境の交渉方法については、職場での合理的配慮の求め方完全ガイドで詳しく解説しています。
結論から言えば、未経験からでも事務職への転職は可能です。特に以下のスキルがあると有利です。
MOS(Microsoft Office Specialist)や簿記の資格があると、書類選考で有利になることもあります。
障害者雇用枚での事務職求人は多いです。大手企業を中心に、障害者雇用の事務系ポジションは一定数あります。
障害者雇用のメリットは、配慮を受けながら安定して働ける点です。障害者雇用と一般雇用の違いについては、障害者雇用とは?一般雇用との違いと発達障害者が知るべきメリット・デメリットを参考にしてください。
事務職の面接では、「正確性」や「継続力」に不安を持たれることがあります。以下のように伝えると効果的です。
「ADHDの特性として注意が散りやすい面がありますが、チェックリストやダブルチェックの仕組みを自分で作ることで、前職ではミス率を大幅に改善しました」
「ASDの特性として細部へのこだわりが強いため、データの不整合や入力ミスに気づきやすいです。前職では、チーム内の最終チェック担当を任されていました」
面接での伝え方については、発達障害を面接で伝える完全ガイドでさらに詳しく解説しています。
事務職で長く働き続けている発達障害当事者の事例には、共通したパターンがあります。JEED(高齢・障害・求職者雇用支援機構)の障害者雇用支援ハンドブックでも整理されているように、「特性に合った業務設計」と「合理的配慮の活用」が長期定着の鍵となります。
ADHDで「ケアレスミスが多い」と評価されていた方が、ExcelのマクロやチェックリストでミスをUI設計レベルで防ぐ仕組みを整えた結果、「ミスが少ない人」と評価が変わるケースがあります。注意力に依存しない構造を作ることが鍵です。
ASDで電話対応や対面のコミュニケーションが負担になっていた方が、データ管理・経理・法務など「黙々と作業できる」事務職に転職することで安定して働き続けるケースがあります。集中環境の確保が成果に直結します。
障害者雇用枠で電話対応の免除や業務範囲の明確化といった合理的配慮を受けることで、毎日安定して働けるようになるケースがあります。厚生労働省の合理的配慮指針でも、障害特性に応じた業務調整の重要性が示されています。
これらのパターンに共通するのは、「特性そのものを変えようとしない」「環境設計と業務設計で特性をカバーする」というアプローチです。フルリモート可能な事務職を選ぶことでさらに強みを発揮できるケースは、発達障害者にとってフルリモートは天国だった件でも整理しています。
事務職への転職を検討している方は、発達障害の特性を理解した転職エージェントに相談するのがおすすめです。
障害者雇用の事務職を探している方には、dodaチャレンジが求人数が業界最大級で選択肢が豊富です。また、きめ細かいサポートを受けたい方はatGPも選択肢の一つです。就職後の定着支援もあるため、事務職への転職後も安心して働けます。
各エージェントの詳しい比較は、発達障害向け転職エージェント7社比較【2026年版】をご覧ください。
発達障害だから事務職に向いていない、ということはありません。大切なのは、自分の特性に合った事務系職種と職場環境を選ぶことです。
「自分に合った事務職が何かわからない」という方は、まずは転職エージェントに相談してみてください。特性を理解したアドバイザーが、あなたに合ったポジションを一緒に探してくれます。
この記事は個人の体験に基づくものであり、医療的なアドバイスではありません。 発達障害の診断や治療については、必ず専門医にご相談ください。 また、記載されている情報は執筆時点のものであり、最新の情報と異なる場合があります。
社会人になってからADHDの診断を受けた当事者。地方在住でフルリモート勤務、年収800万円のフロントエンドエンジニア。転職5回の経験から、発達障害のある方のキャリア形成に役立つ情報を発信。
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