
「働きたい気持ちはあるけれど、いきなり就職するのが不安...」「転職活動がうまくいかず、何から手をつければいいか分からない...」
発達障害(ADHD・ASD)を持つ方の中には、こうした悩みを抱えている方が少なくありません。実は、そんな方のために国が用意している支援制度があります。それが「就労移行支援」です。
この記事では、就労移行支援の基本的な仕組みから、発達障害の方が利用するメリット、おすすめの事業所、自分に合った事業所の選び方までを分かりやすく解説します。
就労移行支援の制度については厚生労働省、相談窓口についてはJEEDもあわせて参照してください。在宅勤務に移行したい方は発達障害者にとってフルリモートは天国だった件もあわせてご覧ください。
就労移行支援は、障害者総合支援法に基づく福祉サービスの一つです。一般企業への就職を目指す障害のある方が、就職に必要なスキルや知識を身につけるためのトレーニングを受けられます。
簡単に言えば、「就職するための準備を、専門のスタッフと一緒にできる場所」です。
就労移行支援を利用できるのは、以下の条件を満たす方です。
発達障害の場合、障害者手帳がなくても医師の診断書があれば利用できるケースが多いのがポイントです。「手帳を取るか迷っている」という段階でも、まずは相談してみる価値があります。
項目 | 内容 |
|---|---|
利用期間 | 原則最長2年間 |
費用 | 世帯収入に応じて自己負担額が決まる(多くの方が無料) |
通所頻度 | 週1日から可能な事業所も多い |
交通費 | 事業所や自治体によって補助あり |
自己負担額の目安は以下の通りです。
世帯の収入状況 | 月額上限 |
|---|---|
生活保護受給世帯 | 0円 |
市町村民税非課税世帯 | 0円 |
市町村民税課税世帯(所得割16万円未満) | 9,300円 |
上記以外 | 37,200円 |
前年度の世帯収入が基準となりますが、約9割の方が無料で利用できているというデータもあります。
就労移行支援で受けられるプログラムは事業所によって異なりますが、一般的には以下のような内容が含まれます。
発達障害に特化した事業所では、感覚過敏への配慮やタスク管理の訓練など、特性に合わせたプログラムを用意しているところもあります。
「自分で就職活動できるのに、わざわざ就労移行支援を使う必要はあるの?」と思う方もいるかもしれません。しかし、発達障害を持つ方にとっては大きなメリットがあります。
就労移行支援の最大のメリットは、発達障害の特性を理解したスタッフからサポートを受けられることです。
例えば、ADHDの方なら「先延ばし癖への対策」「マルチタスクの整理方法」、ASDの方なら「暗黙のルールの理解」「コミュニケーションの練習」など、特性に合ったトレーニングを受けられます。
「自分一人では気づけなかった仕事上の課題を、スタッフの方が客観的に指摘してくれました。おかげで面接でも自分の特性を前向きに説明できるようになりました」(ASD当事者)
転職活動で悩んでいる方は、発達障害の転職で失敗しない7つのポイントもあわせて参考にしてみてください。
就労移行支援を利用した場合の就職率は、事業所によって60〜90%に達します。さらに重要なのが定着率です。
就職方法 | 1年後の定着率(目安) |
|---|---|
就労移行支援を利用 | 約70〜90% |
自力での就職活動 | 約50%前後 |
発達障害の方が転職を繰り返してしまう原因の多くは、「自分に合わない職場を選んでしまう」「職場での困りごとに対処できない」というものです。就労移行支援では、就職前の準備だけでなく、就職後の定着支援(最長3年半)も受けられるため、長く安定して働き続けやすくなります。
就労移行支援は、週1日からの通所が可能な事業所も多くあります。体調に波がある方や、まだ生活リズムが安定していない方でも、無理なく通えるのが特徴です。
「いきなりフルタイムで働くのは不安」という方にとって、就労移行支援は就職までのステップを段階的に踏める場所です。
スキルアップについて詳しく知りたい方は、発達障害者のためのスキルアップ戦略も参考になります。
全国には約3,400以上の就労移行支援事業所があります。その中から、発達障害を持つ方に特におすすめの事業所を紹介します。
事業所 | 特徴 | 就職率 | 定着率 | こんな方におすすめ |
|---|---|---|---|---|
ミラトレ | パーソルグループ運営 | 84.8% | 90% | 大手企業への就職を目指す方 |
Neuro Dive | AI・データサイエンス特化 | 86% | 96% | IT職種を目指す方 |
manaby | 在宅訓練対応 | - | - | 通所が難しい方 |
atGPジョブトレ | 障害種別のコースあり | - | - | 発達障害に特化した支援を受けたい方 |
LITALICOワークス | 全国100拠点以上 | - | - | 地方在住の方 |
パーソルグループが運営する就労移行支援事業所です。**就職率84.8%、定着率90%**という高い実績を持っています。大手人材会社のノウハウを活かした実践的なプログラムが特徴で、ビジネスマナーやコミュニケーションスキルをしっかり身につけられます。
「大手企業で安定して働きたい」「しっかりとした研修プログラムを受けたい」という方に向いています。
まずは見学から始めてみてはいかがでしょうか。ミラトレの無料見学に申し込む
AI・データサイエンスに特化した就労移行支援事業所です。IT職種への就職率86%、定着率96%という驚異的な実績を誇ります。
プログラミングやデータ分析の実践的なスキルを身につけながら、就職活動のサポートも受けられるのが大きな魅力です。発達障害の特性を活かせるIT分野でのキャリアを目指す方には特におすすめです。
IT業界への転職を検討中の方は、発達障害者向け就労支援サービス徹底比較もあわせてご覧ください。
WEB説明会は自宅から参加できるので、気軽に情報収集できます。Neuro DiveのWEB説明会に参加する
在宅訓練に対応した就労移行支援事業所です。eラーニング中心のカリキュラムで、自分のペースでITスキルを習得できます。
「通所が体力的に厳しい」「人が多い場所が苦手」という方でも、自宅から訓練を受けられるのが最大の特徴です。Webデザインやプログラミング、事務スキルなど幅広いコースが用意されています。
まずは見学で雰囲気を確認してみましょう。manabyの無料見学に申し込む
複数の事業所を比較検討するのが理想ですが、まずは気になる事業所の見学や説明会に参加するのが一番です。どの事業所も無料で見学・相談ができるので、気軽に問い合わせてみてください。
事業所を選ぶ際にチェックしたいポイントをまとめました。
チェック項目 | 確認すること |
|---|---|
発達障害への理解 | スタッフが発達障害の特性を理解しているか |
プログラム内容 | 自分が身につけたいスキルの訓練があるか |
通いやすさ | 自宅からの距離、通所頻度の柔軟性 |
雰囲気 | 他の利用者の様子、スタッフの対応 |
就職実績 | 就職率と定着率の具体的な数字 |
就職後のサポート | 定着支援の内容と期間 |
見学の際は、以下のような質問をしてみると、自分に合う事業所かどうかが見えてきます。
2〜3カ所は見学してから決めるのがおすすめです。同じ「就労移行支援」でも、事業所によって雰囲気やプログラムの内容は大きく異なります。
就職後の面接対策について気になる方は、発達障害者の転職面接対策完全マニュアルも参考にしてみてください。
転職活動で不安を感じている方は、発達障害者の転職活動メンタルケアも参考にしてみてください。
就労移行支援は、発達障害を持つ方が安心して就職を目指すための強力なサポート制度です。
この記事のポイント:
「まだ就職する自信がない」「何から始めればいいか分からない」という方こそ、まずは気になる事業所の見学や説明会に参加してみてください。一歩を踏み出すことで、新しいキャリアへの道が開けるはずです。
キャリア全体の計画については、発達障害者のためのキャリアプランニングガイドもあわせて読んでみてください。
この記事は個人の体験に基づくものであり、医療的なアドバイスではありません。 発達障害の診断や治療については、必ず専門医にご相談ください。 また、記載されている情報は執筆時点のものであり、最新の情報と異なる場合があります。
社会人になってからADHDの診断を受けた当事者。地方在住でフルリモート勤務、年収800万円のフロントエンドエンジニア。転職5回の経験から、発達障害のある方のキャリア形成に役立つ情報を発信。
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障害者雇用の給料が気になる方へ。厚生労働省の調査データをもとに平均月収・年収を障害種別・雇用形態別に詳しく解説。一般雇用との差額や、発達障害者(ADHD・ASD)が障害者雇用のまま収入を上げるための具体的な5つの方法も紹介します。

障害者雇用枠と一般雇用枠の違いを分かりやすく解説。発達障害(ADHD・ASD)の方が障害者雇用で働くメリット・デメリット、給与水準の実態、合理的配慮の内容、向いている人の特徴まで当事者目線で詳しく解説。転職を検討中の方必見です。

発達障害(ADHD・ASD)で障害者手帳の取得を迷っている方へ。精神障害者保健福祉手帳のメリット・デメリット、障害者雇用枠での転職や税控除などの具体的なメリット、取得手続きの流れ、よくある誤解まで当事者の体験談を交えて詳しく解説します。